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  • 建築家 永木 靖久 Nagaki Yasuhisa

    神戸大学大学院工学研究科を修了後、建築家毛綱毅曠氏に師事、現在オスモ&エーデル株式会社ハウジング事業部設計部長。
    デザインと高度な温熱環境を両立した「美しい省エネ住宅」の設計を行う。

  • 省エネ建築診断士 吉田 貴紀 Yoshida Takanori

    大手住宅メーカーで営業を経験した後、オスモ&エーデル入社。
    ドイツ建材を通じて様々な設計、建築に携わり、
    高性能住宅を追求する全国の団体に参画。

  • 代表取締役 及川 英治 Oikawa Eiji

    オスモ&エーデルに入社より25年に渡りドイツ建材の輸入販売に携わる。
    現在、代表取締役として、オスモ&エーデルのビジネスマネジメントを行う。

Q4. ドイツの家の性能はどうなっていますか?

Yoshida Takanori

ここ数年の住宅の温熱性能についての意識の高まりやその変化には目を見張るものがあります。とはいえやはり欧米先進国に比べると残念ながら日本の住宅性能はかなり遅れていると言わざるを得ません。

Oikawa Eiji

どれくらい遅れているという実感ですか。

Yoshida Takanori

30年というところでしょうか。ただ日本はやり出すと一気に進むということがあるので早く追いつきたいですね。 

Nagaki Yasuhisa

具体的にはどういうことでしょうか。 

Yoshida Takanori

住宅の温熱環境、この場合断熱といってよいと思うのですが、そもそも日本にはその最低基準がありません。ドイツの家の樹脂サッシはかなり高性能ですが、またドイツをはじめ先進国では使用してよい窓の最低基準が定められていますが、日本にはそれさえまだありません。いろいろすったもんだがあってやっと2025 年から住宅の断熱についての最低基準が法律で施行されることになったことはさきほどお伝えしました。

Oikawa Eiji

もうすぐですね。平成28 年度省エネ基準といわれる最低基準ですがこれはどんなレベルの基準なのですか。

Yoshida Takanori

最低基準なので決して高いとはいえないレベルですね。ドイツの家では悠々とクリアできます。 

Nagaki Yasuhisa

そのあたりの基準はそもそも相手にしていないかんじですね。そもそもなぜ断熱が大切なのでしょうか。 

Yoshida Takanori

ひとことで言うなら家族が健康で長生きするため、でしょう。家が暖かいというのは欧米先進国では基本的な人権と考えられています。高齢者のヒートショック関連死が日本はドイツの20 倍以上と言われています。これは交通事故死の数倍にあたり、日本では道路より家のなかのほうが危ないということになってしまいます。

Oikawa Eiji

日本は我慢の美徳という側面がありますから、でも死んでしまったら元も子もないですね。
断熱の性能を上げると夏が暑いのではないかと気にする人はいますか。

Nagaki Yasuhisa

いますね。冬暖かいということは夏涼しいということになりますとご説明します。日本の家は夏を旨とすべし、と言われてきましたが違いますね、ぜったいに冬を旨とすべし、です。

Oikawa Eiji

徒然草ですね。ではドイツの家はどのレベルの断熱性能を求めますか。

Yoshida Takanori

断熱基準は下から平成28 年度省エネ基準、ZEH 基準、HEAT20G1、HEAT20G2、HEAT20G3 とあるわけですが、少なくともHEAT20G2 以上がよいのではないかと思います。

Oikawa Eiji

なぜですか?

Yoshida Takanori

空調の連続運転のためです。そもそもヒートショックが起きてしまうのは部屋間の温度差が大きいためで、部屋間の温度差を小さくするためには空調を連続運転する必要があります。日本の空調の考え方は人がいる部屋を人がいる時間だけ運転する間欠運転ですが、それでは部屋間の温度差が起きてしまいます。空調の連続運転への抵抗感は電気代ですが、G2 の住宅の場合その電気代は平成28 年度基準の住宅で間欠運転した場合とほぼ同額となりますので気兼ねすることなく連続運転ができ、ヒートショックを防ぐことができます。

Oikawa Eiji

G3はどうですか。

Yoshida Takanori

かなり高いレベルだと思いますが、ドイツの家はトリプルガラスのドイツの窓と外壁の付加断熱を基本としているので可能です。とはいえG3 はやはりコストがかなりかかるので最近ではG2.5 あたりがよいのではないかとよく議論されていますし、ドイツの家でもそのあたりとなることが多いですね。

Nagaki Yasuhisa

空調の連続運転をより効果的に行うためには内部空間の話しで出た7つのメソッドのワンルームを考慮した設計としたいですね。実は7 つのメソッドのプランをざっくりというとオープンなプランということになりますが、それは夏向きの家といわれていたものです。冬向きの家は小さな部屋にこもって採暖するというものでしたので、どう考えても夏向きの家のほうが豊かな暮らしですよね。その夏向きの家を冬も暖かく過ごせて、かつ効果的なエネルギーの使い方ができるなら最高じゃないですか。ドイツの家はそれができる家だということなんです。