デザイン思考が変える働き方の世界。バウハウスからドイツ企業まで

チームで協力しながらアイデアを形にしていく「デザイン思考」は、企業だけでなく教育や行政の分野にも広がり、イノベーションを生み出す新しいきっかけになっています。 デザイン思考について、ドイツ外務省のウェブサイトdeutschland.deの2025年10月の記事をご紹介します。

デザイン思考が変える働き方の世界

バウハウスに着想を得て、スタンフォード大学で発展し、ドイツで進化した「デザイン思考」は、本当の意味でのイノベーションを生み出すための空間をつくり出しています。

私たちの日常生活は、長い間デジタル化されてきました。世界中の人と数秒でやり取りし、アプリで道案内をしてもらい、人工知能を使ってレシピを作ることさえあります。しかし、私たちの働く世界は、厳格な階層構造、別々の部署、意見を共有して考える場がほとんどないなど、いまだに産業時代の原則に基づいていることが少なくありません。

では、企業や社員は、相互につながった現代社会のスピードにどう対応していけるのでしょうか。その答えの一つが、「デザイン思考」と呼ばれる創造的な手法にあります。

デザイン思考とは?

「デジタル変革には、変化に迅速に対応し、その変化を主体的に形づくる能力が求められます」。そう語るのは、ポツダムのハッソ・プラトナー研究所(Hasso Plattner Institute=HPI)にあるデザイン思考スクールの元所長で、グローバル・デザイン・シンキング・アライアンスの創設者でもあるウリ・ワインベルク氏です。

「デザイン思考は、そのための正しいツールキットを提供します。チームは新しい状況に適応し、さまざまな視点を組み合わせ、短期間でアイデアを現実のものにする方法を学ぶのです」

デザイン思考の起源とは?

この概念は1990年代、アメリカのスタンフォード大学で生まれました。ドイツの芸術学校バウハウスから影響を受けたデザイナー、デイビッド・ケリー氏は、さまざまな分野の人々を集め、協働的に問題を解決する方法を模索しました。その後、彼とワインベルク氏はこのアイデアをドイツへ持ち込みます。2007年、ワインベルク氏はハッソ・プラトナー研究所において、ヨーロッパ初の「デザイン思考スクール」を設立しました。

デザイン思考はどのように創造性を育むのか

創造性は、行動を通して生まれます。デザイン思考の中心にあるのは、突然のひらめきではなく「コラボレーション」です。異なる分野の人々がオープンスペースでアイデアを出し合い、ホワイトボードにスケッチを描き、試作品(プロトタイプ)を作って、すぐに試します。このプロセスは反復的で、フィードバックを得るたびに次のバージョンが生まれます。こうしてアイデアは少しずつ進化し、イノベーションへとつながっていくのです。

ドイツ企業ではどう活用されているのか

ボッシュ社は、デザイン思考を用いて自社の構造を再編しました。技術グループでは、これまで別々に運営されていた事業部門を連携させ、ほとんど交流がなかったチーム同士を一つにしました。

「医療技術チームは、インドでは歯科医がコストの問題から工芸用のドリルを使っていることを発見し、そこから新しい製品アイデアが生まれました」とワインベルク氏は述べています。社内の仕組みも変わりました。「チーム単位での成果を評価するようボーナス制度を再設計したことで、企業文化の変化が生まれ、イノベーションのスピードも加速しました」

デザイン思考は他にどんな分野で活用できるのか

ワインベルク氏によると、デザイン思考の原則は学校の授業や大学の講義でもっと活用されるべきであり、さらに社会的課題への取り組みや行政の近代化にも適用されるべきだといいます。

「シンガポールはその好例です。各省庁では何年も前からデザイン思考が取り入れられ、市民中心の公共サービスづくりに活かされています」

現在、シンガポールの行政機関は新しいデジタルサービスをより迅速に開発できるようになり、人々のニーズをより反映した行政プロセスを設計できるようになっています。

出典:deutschland.de(ドイツ外務省)
https://www.deutschland.de/en/topic/business/design-thinking-innovation-germany-companies