ドイツで広がる「屋根の太陽光義務化」を解説。これからの街の風景は?

ドイツでは多くの連邦州で、住宅の屋根に太陽光発電設備の設置義務が始まっています。

建築、生活、生活に関するドイツの情報サイト「Mein EigenHeim」の20251月の記事をご紹介します。


ベルリンの街を歩くと、赤い瓦屋根の上に黒く光るパネルがずらりと並んでいる光景に出会います。
いまドイツでは、新しい家や改修した屋根に太陽光発電を取り付けることが、どんどん「当たり前」になってきているのです。

州ごとに違うルール、でも流れはひとつ

ドイツは連邦制の国。州によって法律が少しずつ違います。

たとえば、南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州。
ここは早くから太陽光義務を導入し、新築住宅も屋根の改修も「ソーラーパネル必須」。2025年以降は20㎡以上の屋根の6割にパネルを並べなければならないという、かなり本格的なルールが決まっています。

お隣のバイエルン州は少しゆるやか。住宅は義務ではなく「推奨」にとどまりますが、倉庫や工場などの非住宅建物は2025年から改修時にも設置が必須になります。

首都ベルリンでは、屋根の30%にソーラーパネルを設置するルール。屋根が難しければ壁面や太陽熱利用でもOKという、都会らしい柔軟さが光ります。

そして港町ハンブルクはさらに厳格で、屋根の改修でも3割以上のパネルが必須。2027年からは「屋上緑化」まで義務に加わります。緑と太陽のダブルで街を彩る未来を見据えているのです。

「まだ」の州も「いずれは」

ザールラント州や東ドイツのいくつかの州では、まだ義務はありません。けれども議論は進んでいて、「遅かれ早かれ導入されるだろう」と見られています。

背景にあるのはEUの大きな決定

この流れを後押ししているのが、EU全体で決まったルールです。
2027年からは新しい非住宅建物、2030年からは新しい住宅に、太陽光発電を義務付けることが合意されました。各国は2026年までに法律を整えなければなりません。

つまりドイツだけではなく、ヨーロッパ中で「屋根に太陽光」が当たり前になっていくのです。

これからの街の風景

ドイツでは今後、住宅街を歩けばほとんどの屋根にパネルが載っている、そんな風景が広がっていきそうです。
昔ながらのレンガの家にモダンな黒いパネルが並ぶ光景は、最初は少し不思議に見えるかもしれません。けれどもそれが「新しい日常」となり、街全体が一つの発電所のように機能する時代が、すぐそこまで来ています。


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