ドイツのパン文化を旅する ~3,000種類以上!世界が注目する味と物語~

ドイツといえばビールやソーセージを思い浮かべる人も多いですが、実は「パン」こそがドイツの食卓の主役。なんと 3,000種類以上 のパンが存在し、その豊かさは世界随一です。2014年にはユネスコの無形文化遺産にも登録され、ドイツの誇る食文化として世界から注目されています。

ここでは、知ればもっとパンが美味しく感じられる、ドイツのパン文化にまつわる5つのトピックをご紹介しましょう。

1. 種類はなんと3,200以上!

小麦粉とライ麦粉をブレンドしたパン、種や雑穀をふんだんに使ったパン、全粒粉パン…。ドイツのパン屋に入ると、定番から個性派まで、実に多彩なラインナップが並びます。ベーカリートレード協会の推定では 3,200種類。パン好きにはまさに天国です。

2. 1世帯あたり年間56キログラムのパン 

ドイツの家庭では、1世帯あたり年間 56kg のパンを消費しているそうです。朝食はもちろん、夕食も「アーベントブロート(夜のパン)」と呼ばれるパン中心の軽い食事が伝統。ハムやチーズをのせただけのシンプルな一皿が、世代を超えて受け継がれています。

(注釈:ドイツの夕食は「Abendbrot」(アーベントブロート、夜のパン)や「Kaltes Essen」(カルテスエッセン、冷たい食事)と呼ばれ、多くの場合、パンとハムやソーセージ、チーズなどを食べます。1920年頃からの文化ですが、最近は変化がみられます。)

3. ドイツのパン職人は約1万人、歴史は450年

全国にはおよそ 9,600人のパン職人 と 35,000軒のベーカリー があり、地域ごとに特色あるパンを焼き続けています。バイエルン州ケムナートにある「Bäckerei Adl(ベッカライ・アドル)」はドイツ最古のパン屋とされ、その歴史はなんと450年。パンづくりは伝統と革新をあわせ持つ文化なのです。

4. ドイツにはパンの“ソムリエ”がいる

ワインのようにパンにも“ソムリエ”がいるのをご存じですか?
「ブロート・ソムリエール(Brot-Sommelière)」と呼ばれる専門家は、パンの味わいや文化に精通したスペシャリスト。なかでも有名なのが、バイエルン州のアクセル・シュミット氏。彼はなんと「ヘビーメタルの音楽がサワードウの酸度にどう影響するか」という実験を行い、ドイツ最大のメタルフェス「Wacken Open Air」で“ヴァッケンのパン職人”と称されるユニークな人物です。

  

5. プンパーニッケルとナポレオン

漆黒のライ麦パン「プンパーニッケル」は、ヴェストファーレン地方生まれの伝統食。保存性が高く、密封されたものは2年も日持ちするほどです。
その名前には諸説あり、有名なのはナポレオンの兵士が「このパンは人には向かない、馬のニッケルにやるものだ」と言ったという伝説。「Bon pour Nickel(ニッケルに良い)」というフランス語が訛って「プンパーニッケル」になったとか。真偽はさておき、この逸話のおかげでパンの知名度はさらに高まりました。

パンは文化そのもの

日常の食卓からユニークな伝説まで、ドイツのパンには物語がぎっしり詰まっています。種類の豊かさだけでなく、職人の技や食文化の背景を知れば、ただの一切れがぐっと特別なものに感じられるはず。

ドイツを訪れる際は、ぜひ地元のベーカリーでお気に入りの一品を探してみてください。そこにはきっと、パンを通じて受け継がれるドイツの暮らしと歴史が詰まっています。

この記事はドイツのパン文化に関する記事(2023年10月ドイツ外務省のウエブサイトdeutschland.deより)を参照しています。

 


 

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