家族の距離感と、子ども部屋
子ども部屋の思い出ってありますか?広かった、狭かった、兄弟と共用だった、無かったなどなど…。
ドイツの家のような新築注文住宅では、お子さん一人につき一部屋をプランすることが一般的です。この子ども部屋をゆったりと設けるか、コンパクトにするか、これが結構悩ましいのです。というのも、近年の主流は広々としたLDK。これはマイホームを検討されている方ならどなたも持たれる希望ではないでしょうか。ただ、土地や予算に条件がある中では、LDKが広くなれば他の空間は必然狭くなります。水回りは絶対に必要ですし、主寝室は家主の部屋なので、いずれお家を巣立つ子どもの部屋は調整されがちです。
子ども部屋についてお客様との打合せで話題になるのは「動線」――つまり子ども室に行くためにLDKを通るか通らないかということです。LDKを通る派は、子どもが帰宅した際にこっそり自室に直行することが無いように。通らない派は、お子さんが大きくなった時に嫌だろうとの考えの方が多いです。
子ども部屋の思い出に戻りますが、私の部屋は4帖くらいしかありませんでした。実家は団地で、家そのものが狭かったのです。4帖の部屋に大きな勉強机と本棚、タンス、ロフトベット、その下にピアノとコート掛けというびっくり過密空間でした。
「部屋が狭いからスリムな勉強机」ではなく、「小学校に上がる時にはちゃんとした木の勉強机を買い与える」という当時の定番を両親は踏襲してくれました。確かに部屋を面積的には圧迫していたけれど、私は勉強机が広くて良かったと思っています。絵を描くことやミシンが好きだったのですが、たくさん素材を広げて作業ができたのは勉強机が大きかったおかげです。ここでの製作、読んだ本や漫画、勉強は、今の私につながっているという実感があります。
もちろん実家も良い思い出ばかりではないですけどね。LD+Kも狭かったので、思春期になると食事以外は自室にこもっているタイプでした。家族の誰かが自分に興味のないTVを観ていると、LDに居場所が無くなってしまうんです。
こんな話をすると「やっぱりLDKは広い方が良いじゃん?」と思われるかもしれませんが、一方で子ども部屋はその子の興味を追求する場になる可能性もあって、ただ勉強して寝るだけの部屋と考えるのはちょっと惜しいなぁと思うのです。
プランは「LDK」「子ども部屋」という部屋の配置だけではありません。窓の配置や階段との繋がりなどをよく検討していくと、自然と「ついついそこにいたくなってしまう空間」が生まれます。そこは子ども室の前室だったり、ゆったりとした階段だったりします。その分LDKは少しコンパクトになるかもしれません。でも、ただLDKの面積を広げるだけでは生まれない心地よさがあると考えています。
子どもの居場所が家の中に何カ所もあるというのは、とってもいいなぁと思うんです。私の実家でいうと、LDで家族と過ごすか(狭いので同じことをすることになる)、自室にいるか、という2択しかありませんでした。例えばゆったりとした階段があって、なんとなく心地が良いから子どもがこの階段に腰かけてスマホをいじっている。親が通りかかるときにちょっと喋って、YouTubeで見ていたバンドのことを教えてくれる…なんて、ささやかなコミュニケーションが生まれるかもしれません。家族みんなで何かするだけではなく、各々何かやっているんだけど、ちょこちょこ会話してしまうのも面白いよね、子どもが大きくなったらそっちの方がリアルなんじゃない?なんて、ドイツの家では考えています。

部活が忙しくて自室では寝るだけだった、家族とリビングでドラマを見る時間が好きだったなど、いろいろな思い出があると思います。ドイツの家でのヒアリングでは、お客様の子どもの頃の思い出と、これから家族とどう過ごしたいかという希望をぜひお話しください。答えの出ない話でしたが、これを読んでくださった方が自分の子ども部屋を思い出すきっかけになれば嬉しいです。
