建築士が教える「高気密・高断熱」とは?「高気密・高断熱」のメリット・デメリットを比較。

断熱性能を義務化する「建築物省エネ法」の改正法成立を受けて、2025年以降は新築住宅・非住宅において省エネ基準「断熱等級4」の適合が義務付けられるなど注目を集めている住宅の気密性と断熱性。そこで本日は「高気密・高断熱」という住宅性能とドイツの家の「高気密・高断熱」性能についてお伝えしていきます。

目次

  1. ◆高気密・高断熱の家とは?
  2. ◆高気密・高断熱のメリット・デメリット
  3. ◆ドイツの家の高気密・高断熱性能について
  4. ◆高気密・高断熱にこだわる家づくりの方法
  5. ◆まとめ

 

 

◆高気密・高断熱の家とは?

住宅の性能において高気密・高断熱という言葉が用いられますが、基本的に気密と断熱はセットとして考えます。

また気密は家の大きさに対してどの程度のスキマが存在するのかを測定するC値、断熱は住宅の内部から外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均したUA値が基準とされています。

また断熱は設計段階でどれくらいのスペックの断熱を施すかを決めるのに対し、気密は建築が始まったあとでないとC値の測定を行うことができないというのもポイントです。

◆高気密・高断熱のメリット・デメリット

高気密・高断熱のメリットは計画通りの室内環境を作れるというのが最大のメリットです。必要なスペックは家を建てる地域によって様々ですが、高断熱であることで年間を通して、また部屋間の温度差の少ない快適な居住環境を実現でき、また高気密であることで計画通りの換気を行うことができることになります。

一方、デメリットとして挙げられるのがやはりコスト面。

しかし、高気密・高断熱にコストをかけるということは外皮性能にコストをかけるということ。快適な居住環境をつくるためには設備か外皮どちらかにコストをかけなければなりませんが、外皮性能は建物として存在する限り維持されること、また快適な居住環境の実現に必要なエネルギーが少なく済むことなどより後々のことを考えるとコストパフォーマンスに優れていると言えます。

◆ドイツの家の高気密・高断熱性能について

ドイツの家の高気密・高断熱性能は気密性を測定するC値が0.5程度、断熱性を測定するUA値が0.46〜0.26程度となっています。一般的に断熱のレベルを示すHEAT20という基準のG2レベル以上を標準としています。

◆高気密・高断熱にこだわる家づくりの方法

ドイツの家では充填断熱を行うための素材としてセルロースファイバーを採用、ダブル断熱の場合はセルロースファイバーの充填断熱にロックウールの外張り断熱を追加することで性能を担保します。またサッシは樹脂サッシのトリプルガラスを基本としています。

HEAT20の基準で言えば6地域の場合でペアガラス+セルロースファイバーの充填断熱がG2、トリプルガラス+セルロースファイバーの充填断熱がG2とG3の中間、トリプルガラス+セルロースファイバーの充填断熱+ロックウールの外張り断熱がG3となっています。

◆まとめ

今回は高気密・高断熱の役割とドイツの家の高気密・高断熱性能についてお伝えしました。断熱性能については法改正も手伝って今後より重要になっていくため、これから新築を建てたいとお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

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