ドイツの家流 デザインのための「庇(ひさし)」
日本建築の特徴の一つといえる「庇」。特に太陽光や熱を遮るためには深い庇が良いと考えられている風潮もありますが、庇は機能面よりもデザインの方に優れた部材です。そこで今回はデザインのための庇というテーマでお伝えしていきます。
・遮光という意味ではあまり意味がない「庇」
庇は深いものを取り付けることで影ができるため太陽の光や熱、汚れを遮る効果が期待されがちですが、機能面ではあまり効果を発揮できないというのがドイツの家の考え方。それどころか中途半端な長さになってしまうと汚れの明暗がすごく出てしまうため、外観のデザインにも影響を及ぼしてしまいます。
太陽光と熱を遮断しつつ季節を問わず快適な空間にするのであれば、そのときの気持ちや状況に応じて取り入れる光や熱の量をコントロールできる外付けブラインド「ヴァレーマ」の方が効果的です。
太陽の高度や熱量は秋分と春分は同じですが、これから夏を迎える春と、冬を迎える秋では住む人の気持ちも異なります。外付けブラインド「ヴァレーマ」の場合は、そのような情緒面も含めて太陽光や熱をコントロールすることができます。
・デザインのための「庇」
機能面ではあまり効果の少ない庇ですが、ドイツの家では「中間領域」という面では庇は非常に有効であると考えています。特に柱を出して庇の下の部分が中間領域として活用できるアウトドアリビングのようなスペースを作る際にはピッタリです。
とりわけ庇の寸法はデザインに関わってくるところ。美しくデザインするために庇をどのように使うかという点においてはデザイナーの力量が問われるため、ドイツの家では美しさにこだわりをもってプランを作成するようにしています。
一般的には日よけの印象が強い「庇」ですが、ドイツの家では「庇」をデザインのための部材と捉えています。
稀に「汚れを防ぐためにも庇を深くしたい」とお客様からご要望をいただくことがありますが、そのようなときには庇の役割や特徴について説明をさせていただいています。